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大阪地方裁判所 昭和32年(ワ)1285号 判決

原告 徳島県森林組合連合会

被告 小野求 外三名

主文

各被告は原告に対し別紙目録記載の土地のうち同目録記載の各自の占有部分をその地上の農作物その他の附加物を収去して明渡せ。

被告望月正治及び同今城貞はそれぞれ原告に対して昭和三二年四月七日以降前項の土地明渡済に至るまで一ケ月金一〇〇円の割合による金員支払え。

被告町井義夫及び同小野求はそれぞれ原告に対して昭和三二年四月七日以降第一項の土地明渡済に至るまで一ケ月金一五〇円の割合による金員を支払え。

原告その余の請求は棄却する。

訴訟費用は被告等の負担とする。

この判決は原告において各被告に対して金三〇、〇〇〇円の担保を供するときは、その被告に対して仮りにこれを執行することができる。

事実

原告訴訟代理人は主文第一項第五項同旨並びに被告等は各自原告に対して昭和三二年四月七日より本件土地明渡済に至るまで一ケ月金五〇〇円の割合による金員を支払えとの判決及び仮執行の宣言を求め

一、その請求の原因として

(一)  別紙目録記載の土地(以下単に本件土地と略称する)はもと訴外日本電研株式会社(以下単に訴外会社と略称する)の所有に属していたところ、原告は昭和二九年一一月一二日右訴外会社から右土地を代金五〇〇、〇〇〇円で買受け、その所有権を取得した。

(二)  然るに被告等に右土地に関してこれを占有することのできる何等の権限も持たないのにかかわらず、右土地のうち、別紙目録記載の各自の占有部分を不法に占有している。

(三)  よつて原告は右土地所有権に基いて各被告等各自に対して本件の訴状送達の日の翌日から右明渡済に至るまで一ケ月金五〇〇円の割合による損害賠償金の支払を求めるため本訴に及んだ。

と述ベ

二、被告等の抗弁に対する答弁として

(一)  原告が本件土地所有者でない旨の被告等の抗弁は次のような理由でいづれも理由がない。原告は本件土地の現所有者である。

(1)  農地法違反の抗弁について

本件土地が農地であることは否認する。従つて右土地は小作地でもない。本件土地は訴外会社所有当時から既に実質上宅地であつたのであつて、被告等は訴外会社の従業員として本件土地を家庭菜園に利用し、野菜類を栽培していたに過ぎない。右のような家庭菜園に利用する程度ではこれを農地法上の農地と云うことはできない。右のように本件土地は農地でなく、被告等はいづれも農業を営むものでもないので農地法上の小作人ではない。本件土地が農地であることを前提とする訴外会社と原告間の右土地の売買が無効である旨の被告等の抗弁は理由がない。

(2)  森林法違反の抗弁について

原告の訴外会社に対する債権が貸金債権であることは否認する。原告は森林法第一五四条によつて所属員の林産物の加工販売を業とすることを許されている。原告は右業務の遂行として、所属員の林産物の加工品を訴外山ノ井立夫に販売したところ、同訴外人はその代金の一部を訴外会社振出の約束手形で支払い、その余の代金約金二、〇〇〇、〇〇〇円を支払わなかつた。右訴外人は原告から買受けた右木製品を他に転売して、その代金として取得した金員を訴外会社の運営資金に注入して、訴外会社に対して債権を持つていたので、原告は右訴外人に対する前記売掛代金債権取立の手段として、訴外会社の訴外山ノ井に対する債務額の範囲内で訴外会社をして訴外山ノ井の原告に対する債務を引受けさせた。そして訴外会社が原告に対して前記手形金債務と右引受債務を支払うことができないので、原告は訴外会社から本件土地を金五〇〇、〇〇〇円で買受け、これを他に転売して得た利益で右債権を出来るだけ取立てようとしたのである。

以上の原告の行為は森林法上認められている前記所属員の林産物の加工販売事業の附属的行為として当然原告の業務の範囲内に属し、原告の定款の定むる業務の範囲も逸脱していない。従つてこれら原告の行為が森林法によつて認められた原告の業務の範囲を逸脱し、或いは定款の定むる原告の業務の範囲を超過して無効である旨の被告等の主張は理由がない。原告は右の次第で本件土地の所有権を取得したものである。

(3)  商法第二六五条違反の抗弁について

前述のように訴外会社から原告への本件土地所有権の移転は単純な売買であるので商法第二六五条の問題はない。仮りにそうでないとしても原告が訴外山ノ井立夫に売渡した木製品を同訴外人が他に転売した転売代金の大部分は同訴外人によつて訴外会社の運営資金として貸付けられて訴外会社は同訴外人に債務を負担していた。訴外山ノ井が原告に対して右木製品代金の支払をすることができなかつたのはこの為めである。右の場合、訴外山ノ井が訴外会社を代表して訴外山ノ井の原告に対する債務を引受けるのは商法第二六五条の取締役会の承認を受けなければならない場合には当らない。また、原告は前述のように訴外山ノ井に売渡した木製品の代金の一部を同訴外人から訴外会社振出の約束手形で受取り、訴外会社に対して手形債権を持つていた。右引受債務及び手形債務の弁済について、訴外山ノ井が訴外会社を代表して原告に対して本件土地をもつて代物弁済をしたとしても、右訴外人の会社の代表者としての行為は右法条の取締役会の承認を要する場合に当らない。従つて右債務の引受及び代物弁済は会社の行為として有効であつて、原告はこれによつて本件土地の所有権を取得したものである。

(4)  暴利行為を理由とする公序良俗違反の主張について

本件土地を原告が買受けた当時の右土地の時価が被告等主張の通りであることは否認する。原告の右土地の買受け価格金五〇〇、〇〇〇円は当時の時価としては幾分格安であつたが暴利と云う程ではない。前述のように本件土地は訴外会社の原告に対する債務の代物弁済の意味で原告が訴外会社からこれを買い受けその代金をもつて右債権の支払を受けたのであつて、当時右土地は訴外会社の他の債権者から差押を受けていて、原告は右差押解放のために金一〇〇、〇〇〇円を差押債権者に支払う等、原告が右土地所有権を取得して換金するには原告の出資を要する現実の紛争の対象になつて居り、また将来そのような紛争の対象になるおそれのある土地であつたから、原告が右土地の代償として訴外会社に支払つた額が、その時価より格安であるのは当然である。右土地を前記価格をもつて買受けたのは右事情に徴すれば決して暴利行為ではなく、右売買は有効である。

(二)  被告等が本件土地を賃貸借又は使用貸借により借受けている旨の抗弁について

被告等が本件の土地についてその前所有者である訴外会社との間に賃貸借又は使用貸借契約を結んで借受けている旨の被告等の主張事実は否認する。仮りに被告等が訴外会社から本件土地を借受けたとするも、被告等は訴外会社に対して賃料を支払つたことなく無償でこれを借受けていたのであるから、右訴外会社と被告等間の本件土地の貸借関係は使用貸借であつて賃貸借ではない。右使用貸借契約は訴外会社その従業員に本件土地を家庭菜園として使用させたものであるから、訴外会社がその業務を停止して、被告等がその従業員としての身分を失つて後は貸主は直ちに返還を求めることができるところ、原告は本訴提起前に被告等に対して本件土地の明渡しを請求したので、その時以後被告等は原告に対して本件土地を返還する義務がある。仮りに右明渡の請求が認められないとすれば、原告は本訴をもつて右返還の請求をする。仮りに訴外会社と被告等の間の本件土地の貸借関係が賃貸借関係であつたとするも右賃貸借はその登記がないのみならず建物所有を目的とする賃貸借でも農地の小作契約でもないので右契約締結後に本件土地について所有権を取得した者に対してその効力なく、原告が右契約締結後に訴外会社から本件土地を買受けたからと云つて、右訴外会社と被告等の間の賃貸借契約の賃貸人たる地位を必然的に承継するものではない。仮りに原告が賃貸人の地位を承継したとするも、右賃貸借契約は何時でも解約の申入れをすることができ、解約申入後一ケ年の経過をもつて賃貸借関係は終了するところ、原告は被告等に対して、前述の本件土地の明渡の請求を為すことによつて、右賃貸借の解約の申入れをしたのであるから、その後一年以上年月を経過した今日右賃貸借契約はもはや存続していない。従つて被告等は本件土地を何等の権限なく不法に占有しているものである。

と述べ

三、立証として

甲第一号証、同第二号証の一、二、同第三号証の一、二、三、及び同第四号証を提出し、証人山ノ井立夫、同石川美馬二、同中山茂樹及び同前田彰一の訊問を求め、検証の結果を援用し、乙第一号証の一、二及び同第五乃至第七号証の成立を認め、乙第二乃至第四号証は不知と述べた。

被告等の訴訟代理人は原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、

一、答弁として

本件土地がもと訴外会社の所有であつたこと及び被告等が本件土地の原告主張の各部分をそれぞれ占有していることは認めるが原告その余の主張事実はこれを否認する。原告は訴外会社に対して貸金債権ありと称して、その代物弁済として右訴外会社から右土地所有権の譲渡を受けたのであつて、訴外会社との間の売買契約によつて所有権を取得したのではない。そして原告は訴外会社に何等の債権もなかつたから右土地の所有権を取得していない。

と述ベ

二、抗弁として

(一)  原告は次の諸理由によつて本件土地の所有権を有しない従つて原告に右所有権あることを前提とする原告の被告等に対する本件土地明渡及び右土地の賃料相当の損害金の支払の請求は失当である。

(1)  訴外会社から原告への本件土地の所有権の移転は農地法第三条第四項により無効である。

(イ) 本件土地は農地である。本件土地は明治三三年に保存登記がなされて以来、原告が買受けるに至つた昭和二九年一一月一二日まで畑地として登記せられて居て、事実上においても昭和一六年頃から被告今城貞の亡夫亀之助が右土地で米麦等の耕作をしていたが、右亡亀之助が「イマシロード」なる商号を用いて本件土地の隣地上で電気熔接棒製作事業の経営を始めて後はその従業員等と右亡亀之助が本件土地上に農作物を栽培していた。右事業が訴外会社に引継がれて以来今日まで、被告等は訴外会社の従業員として右土地の耕作を許され、三〇〇坪に及ぶ大規模な農耕をして来たのであつて、右土地耕作は小規模な家庭菜園の類ではない。従つて本件土地農地法第三条にいわゆる耕作の目的に供する土地である。

(ロ) 原告は本件土地を買受けた後、その地目を畑から宅地に変更しているが、右農地を農地以外のものにするに付いて農地法第四条による大阪府知事の許可を受けていないので、右地目の変更は無効である。仮りに府知事の許可を受けたとするも、本件土地は前述のように事実上耕作の目的に供せられた土地であつて、過去において一度も宅地として使用されたことのない土地であるから、それが農地法にいわゆる耕作の目的に供する土地として取扱われるべきものであることに変りはない。

(ハ) 本件土地は小作地で被告等は小作人である。被告今城貞の亡夫亀之助は昭和一六年頃本件土地約三〇〇坪とその隣地の現在空工場になつている訴外会社の工場の敷地とを合せて、その旧所有者訴外西田源次郎から賃借し、前述のように右両土地を農耕に使用していた。その後、右亡亀之助が電気熔接棒製作事業を経営するようになつて後は、本件土地の一部を自ら耕作すると共に、地主訴外西田の同意を得て、他の一部を右事業の従業員等に転貸し、同人等に各転借地上に農作物を栽培させていた。その後右土地が訴外会社の所有に帰して後は被告等は右訴外会社から本件土地を借受けてこれを耕作していたが、被告等は右会社の従業員として給料が極めて低くかつたので、その代償として本件土地の耕作を許されていたものであつて、右耕作土地の使用について賃料に相当する代償を支払つている。従つて本件土地は農地法にいわゆる小作地であつて被告等はその小作人である。

(ニ) 原告は本件土地を農地以外のものにするに付いてその小作人たる被告等に対する補償をしていないので、仮りに右農地以外のものへの転用について大阪府知事の許可があつたとするも、右転用許可は無効である。小作地を農地以外のものに転用することによつて小作人がその土地の耕作権を失う場合には地主は農地法施行規則第六条による補償をしなければならない。右補償未済の間はこれを農地以外のものに転用することはできない。原告は本件土地の小作人である被告等に対して、本件土地を農地以外のものに転用することによつて被告等の受ける損害を補償していないので、仮りに右転用について府知事の許可があつたとするも、右許可によつて右転用をすることができることにならない。従つて右許可の有無にかかわらず本件の土地は農地として取扱うべきものである。

(ホ) 以上述べたように本件土地は農地であるから、その所有権の移転をするには農地法第三条第一項により大阪府知事の許可を要するところ、昭和二九年一一月一二日本件土地の所有権は右府知事の許可を受けることなく訴外会社から原告に移転せられたのであるから、右所有権の移転は同法条第四項によつて無効である。従つて原告は本件土地の所有権を取得することができない。

(2)  訴外会社から原告に対する本件土地所有権の移転は森林法に違反して無効である。原告は森林法第七四条に基いて設立された組合であつて、同法第一五四号第一号によれば、森林組合連合会はその所属員に金員を貸付けることはできるが、その所属員以外のものに金員を貸付けることはできない。然るに、訴外会社から原告への本件土地所有権の移転は前述のように原告の訴外会社に対する貸金債権の代物弁済として為されたものである。訴外会社は原告の所属員でないことは勿論、森林組合とは何等関係のない営利会社であるから、原告から訴外会社に対する貸金は森林法に違反して無効である。従つて右貸金の代物弁済としての前記本件土地の所有権移転も無効である。また、原告がその所在地を遠く距つた大阪府下に所在する農地又は宅地である本件土地を取得することは森林法所定の原告の事業又は原告の定款所定の事業の範囲外に属する。原告は右土地所有権を取得する権利能力がないから、右土地所有権の移転は無効である。

(3)  訴外会社から原告への本件土地所有権の移転は商法第二六五条に違反して無効である。

訴外会社の原告に対する前記債務は、訴外会社の代表取締役である山ノ井立夫が個人として原告から購入した木製品の買掛代金債務の一部を訴外会社において債務の引受けをしたものである。訴外会社の右債務の引受けの意思表示は訴外山ノ井立夫が訴外会社を代表して原告に対してこれを為している。訴外山ノ井は訴外会社を代表して右債務の引受けを為すに付いて訴外会社の取締役会の承認を得ていない。従つて右債務引受けは商法第二六五条に違反した無効の行為であつて、訴外会社はこれによつて原告に対して何等の債務も負担しない。訴外会社から原告への本件土地所有権の移転は右のように存在しない債務の代物弁済として為されたものであるから、原告はこれによつて本件土地所有権を取得できない。また右代物弁済行為も訴外山ノ井が訴外会社を代表して行つたもので、右代物弁済をするについて訴外会社の取締役会の承認を受けていないから、それ自体商法第二六五条違反であつて、原告は本件土地所有権を取得しない。

(4)  原告の本件土地所有権の取得は公序良俗に反して無効である。

仮りに右(1) 乃至(3) が理由がないとするも、本件土地は、原告がその所有権を取得したと称する昭和二九年一一月一二日当時、時価金二、〇〇〇、〇〇〇円相当のものであつたところ、原告は訴外会社に対する債権者としての優越した地位を利用し、訴外会社の窮迫に乗じて不当に安価な時価の約四分の一程度の金五〇〇、〇〇〇円の評価で、右債権の代物弁済として取得した。仮りに原告の右所有権の取得が売買によるものであるとしても、右売買は原告の債権者としての優越した地位を利用して訴外会社の窮迫に乗じて為されたものであることに変りはない。原告の右行為は他人の窮迫に乗じて暴利を目的とするものであるから公序良俗に反して無効であつて、原告は本件土地所有権を取得できない。

(5)  仮りに原告が訴外会社から本件土地所有権の移転を受けたとしても、その後原告は右土地を訴外小林清一に売却したから現在原告はその所有者でない。

(二)  仮りに原告が本件土地の所有者であつても、被告等は適法な権限に基いて本件土地を占有使用しているものであるから、原告は被告等に対して右土地の明渡を求めることはできない。前述のように被告今城貞の亡夫亀之助は本件土地の当時の所有者であつた訴外西田源次郎から右土地を賃借し、訴外西田の承諾を得てその一部を被告今城貞を除くその余の被告等に転貸していたところ、右亀之助の死亡によつてその妻被告今城貞及びその娘で被告望月正治の妻である訴外望月和子が右賃借権及び転貸人たる地位を相続したが、その後訴外会社が右訴外西田から本件土地を買受けその所有者となつた結果、訴外会社において右賃貸借契約上の賃貸人たる地位を承継し、且つ前記転借人であつた各被告及び訴外和子の夫被告望月正治は訴外会社から各被告の現在占有している本件土地の各部分を直接賃借する関係になつたのである。

原告はその後において右訴外会社から本件土地所有権の移転を受けて、前記賃貸借契約による被告等に対する賃貸人たる地位を承継したものである。従つて被告等は原告に対する関係においても本件土地の賃借権者であつて右賃借権に基いて本件土地を適法に占有使用しているものである。仮りに原告が被告等に対して右土地の賃貸借契約を解除又は解約しても、このような解除又は解約を為すについての正当な理由のない土地賃貸人の一方的な解除又は解約はその効果を生じない。従つて被告等は依然として本件土地の賃借権を有して居て右賃借権に基いて適法に右土地を占有使用することができる。原告の被告等に対する本件土地明渡の請求は失当である

と述べ

三、立証として乙第一号証の一、二、同第二乃至第七号証を提出し、証人小林清一、同西田楢夫、同森本吉太郎及び被告小野求、同今城貞、同町井義夫、同望月正治各本人の訊問を求め、検証の結果を援用し、甲号各証の成立を認めた。

理由

一、本件土地所有権が原告に属するかどうかについて、

(一)  本件土地所有権が原告に移転された経過

本件土地がもと訴外会社の所有であつたことは当事者間に争がない。そして成立に争のない甲第一号証及び乙第一号証と証人山ノ井立夫、同石川美馬二、同中山茂樹並びに同前田彰一の各証言及び被告小野求本人訊問の結果を綜合すれば、原告は森林法によつて設立された森林組合連合会でその事業の一として所属員の生産した林産物を加工して製作した木製品を一般市場に卸売販売していたこと。昭和二八年頃原告は当時海府商会なる商号で木製品の販売業をしていた訴外山ノ井立夫に対して右のような木製品を販売し、同訴外人はその売買代金の支払を遅滞し、原告の強い請求で同訴外人の振出した約束手形及び訴外会社その他第三者の振出した約束手形で支払つていたところ、昭和二九年秋頃前記手形は不渡となり右訴外山ノ井は支払不能の状態に陥り、原告に対して約金三、〇〇〇、〇〇〇円の買掛代金債務が残存したこと、その後原告の調査によれば、前記海府商会の帳簿の帳尻では右債務と略同額の資産が右商会に残存している筈であるのに現実には同商会に何等の残余の資産がないので、原告が訴外山ノ井に右資産の行方を問いたゞしたところ、同訴外人は前記のように原告から買受けた木製品を転売し、その売上金を当時右訴外人が代表取締役をしていた訴外会社の運営資金として同会社に貸付け融通した旨を答えたので、原告は訴外会社の代表者としての訴外山ノ井と交渉して訴外会社をして訴外山ノ井の原告に対する前記買掛代金債務金三、〇〇〇、〇〇〇円を引受けさせたこと、その頃右訴外会社も経営困難に陥り右引受債務を支払うことが困難になつたところ、当時本件土地は訴外会社所有の不動産で同会社の他の債権者から仮差押及び競売の申立こそ受けていたが何等抵当権その他優先的請求権の附いていない状態にあつたので、原告は、訴外山ノ井の申出に従つて、本件土地を前記強制執行手続の解放に要する額相当の安い価格で買受け、これを高価に他に転売して、利益となつたその差額をもつて前記取立不能になつた訴外会社の引受債務の支払に代えようと企て、原告と訴外会社代表者としての訴外山ノ井との間に、「原告は訴外会社から本件土地を価格金五〇〇、〇〇〇円で買受け、右土地を安価に買受ける代償として訴外会社に対して前記引受債務約金三、〇〇〇、〇〇〇円の支払を免除する。訴外会社は右金五〇〇、〇〇〇円のうちから仮差押及び競売申立をした債権者に対する示談金を支出してこれら強制執行手続の解放を受け、本件土地を登記簿上無疵のものとした上で原告名義に所有権移転登記手続をする」趣旨の契約が成立したこと、及び昭和二九年一一月一二日右契約の履行が終り本件土地についての右仮差押及び競売申立の登記は抹消され、本件土地の登記簿上の地目が従来の田及び畑から宅地に変更され、原告名義に所有権移転登記手続を終つたことを認めることができる。被告小野求本人訊問の結果中原告から訴外会社に貸金があつた旨の供述は措信しない。その他被告等の全立証によつても右認定を覆すに足りない。

(二)  本件土地所有権が原告に属しない旨の被告等の抗弁について

(1)  農地法違反の抗弁について

被告等は本件土地は農地で被告等を小作人とする小作地であると主張するが、検証の結果に徴して認め得る本件土地が生垣によつて附近の農地と離隔されている事実その上に栽培されている野菜類が家庭菜園程度のものである事実、可なりの面積の土地が荒地のまま放任されている事実、その他右土地の状況、証人森本吉太郎の証言によつて認め得る前記生垣が昭和一六年頃から既にあつてその頃本件土地は一二年耕作されずに放置されていたが昭和一七年頃「イマシロード」なる会社が右土地を工場敷地となつていたと地と共に賃借して隣地上に工場を持つていたところ、右会社の従業員等が勝手に本件土地の耕作を始めた事実、被告町井義夫、同小野求、同望月正治並びに同今城貞の各本人訊問の結果に徴して認め得る被告等がいづれも農業を営む者でない事実、成立に争のない甲第一号証並びに乙第一号証に徴して認め得る本件土地の地目は登記簿上、従前田及び畑になつていたが大阪府知事の許可を受けて昭和二九年一一月一二日宅地に改められている事実及び成立に争のない甲第二号証の一、二、同第三号証の一、二を綜合すれば本件土地の現況は農地ではなく宅地であると認めるが相当である。従つて右土地は小作地ではなく、被告人等は小作人には該当しない。右土地が農地であることを前提とする被告等の抗弁は理由がなく、訴外会社から原告への右土地所有権の移転は大阪府知事の許可がなくても、これを有効にすることができる。

(2)  森林法違反の抗弁について

被告等は原告の訴外会社に対する債権は貸金債権で、訴外会社から原告への本件土地所有権の移転は右貸金債権の代物弁済であるから、本件土地所有権を原告が取得したのは森林法及び原告の定款に定められている原告の事業の範囲を逸脱して無効であると主張する。しかしながら原告は森林法第一五四条第一項第四号、第一二号によつて所属員の生産する林産物の加工販売及びこれに附帯する事業をすることを許されているところ、前認定のように原告の訴外会社に対する債権は原告がその所属員の生産した林産物の加工品を訴外山ノ井立夫に販売した結果、右訴外人に対して有するに至つた売掛代金債権について訴外会社が右債務を引受けたことによつて発生した債権であつて、右売掛代金を取立てる方法として右債務の引受け及び引受債務についての代物弁済又はこれに代る売買がなされたのであるから、右原告の各行為はいづれも前記法条によつて原告に許された所属員の生産した林産物の加工販売に附帯する事業に該当し、原告の権利能力の範囲内の行為として適法有効であつて、被告等の抗弁を採用できない。

(3)  商法第二六五条違反の抗弁について

原告が訴外会社から本件土地所有権の移転を受けるに至つた経過は前認定の通りである。被告小野求本人訊問の結果中には原告の訴外会社に対する債権の発生原因は貸金であつて、右貸金債権は弁済によつて消滅した旨の供述があるが、弁済によつて消滅した旨の供述部分は措信し難く、右貸金なる旨の供述部分は訴外山ノ井の訴外会社に対する債権が貸金債権であることを意味するに止り、原告の訴外山ノ井に対する債権が売掛代金債権で訴外会社の原告に対する債務が右山ノ井の債務を引受けたものである旨の前認定を覆すものではない。原告は右訴外会社から原告に対する本件土地所有権の移転を代金五〇〇、〇〇〇円の純粋な売買である趣旨の主張をするが原告の全立証によつても右原告の主張は認め難い。却つて証人前田彰一の証言によれば、原告は本件土地の時価を約金一、〇〇〇、〇〇〇円相当と評価したので、訴外山ノ井との間に訴外会社から原告に右土地を金五〇〇、〇〇〇円に売渡す代償として原告は訴外会社に前記約金三、〇〇〇、〇〇〇円の引受債務の支払義務を免除する旨の示談契約をしたことを認めることができるので、前記本件土地所有権の移転の原因は金五〇〇、〇〇〇円の限度においては売買その余の部分は代物弁済に似た関係にある特殊な示談契約と云うべきである。株式会社が第三者に対して債務を負つている場合に、その取締役が右債権者との間に右のような売買と代物弁済を混合したような示談契約を結ぶことは、それ自体としては会社とその取締役間の取引を含んでいないので右示談契約の締結について取締役会の承認を経ない場合でも商法第二六五条により右示談契約が無効となることはない。しかしながら、株式会社の取締役が商法第二六五条によつて取締役会の承認を必要とする取引をその承認を経ないですることによつて会社に債務を負担させた上、右債務の弁済のために債権者との間に会社所有の不動産を債権者に譲渡し、その時価の一部分を代金として会社で受領し、その残余の部分をもつて右債務の代物弁済に当てる示談契約をした場合には、右示談契約は右債務の発生原因である取引と結合して取締役会の承認を要する一連の取引となつていると云うべきであつて右承認を経なければ右不動産所有権移転の効果を生じないと解すべきである。(右示談契約を債務の発生原因と別個の法律行為と解しても、その要素に錯誤あるものとして無効である。)単に無効な債権に対する非債弁済として会社が債権者に対して不当利得の返還請求を為し得るに止る場合と解すべきではない。従つて本件の場合には訴外山ノ井が訴外会社の代表取締役として右訴外人個人の原告に対する債務を会社において引受けた行為が商法第二六五条違反として無効であるかどうかによつて、訴外会社から原告への本件土地所有権の移転が無効であるかどうかが決定されるわけである。

そこで前記示談契約締結当時原告の訴外会社に対する債権が有効であつたかどうかについて判断する。冒頭に認定した訴外会社から原告に本件土地所有権が移転されるに至るまでの経過に徴すれば、原告の訴外会社に対する債権は総て訴外山ノ井の原告に対する買掛代金債務を訴外会社が引受けたものであるが、その一部は訴外山ノ井が原告に対して右買掛代金債務を訴外会社振出の約束手形をもつて支払つたが右手形が不渡となつた分もあつて、その部分については(原告の全立証によつてもその数額を明確にできないが)債務の発生原因は債務引受けと手形上の債務と重複しているわけである。しかし訴外山ノ井は前認定のように訴外会社振出の約束手形を商品代金として原告に交付したのではなく、買掛代金債務の支払として交付したのであるから、右手形振出の原因は債務の引受であること明らかである。株式会社の取締役が自己又は第三者のために会社と取引を為すに付いて取締役会の承認を経ないので会社名義の手形の振出等の手形行為をした場合には、手形行為自体は無効となることなく、右手形行為の原因となつた取引の無効を人的抗弁として主張し得るに止るのであるが、本件の場合は、原告が訴外山ノ井個人に売渡した商品の売掛代金債権の支払の為めに同訴外人自身が代表取締役として署名した訴外会社振出の約束手形を原告に交付したのであるから、原告は右取引の経過と手形面の記載から訴外会社が訴外山ノ井個人の債務を引受ける趣旨で右手形の振出をしたものであることを当然知ることのできる立場にあつたことは明らかであつて、仮りに右債務の引受けが被告等主張のように無効であつたとすれば原告は訴外会社を害することを知りながら右手形を取得した場合に当ると認められる。従つて訴外会社が原告に対して手形債務を負担するか否かは前記訴外会社の債務引受が有効か否かにかかつているので、結局訴外会社が原告に債務を負つていたか否かは、右債務について訴外会社振出の約束手形が原告に差入れられている分も、差入れられてない分もすべて訴外会社の債務引受けが有効か否かにかかつているわけである。

株式会社の取締役が会社と為した取引であつても、専ら会社の利益の為めに為されたものは商法第二六五条によつて取締役会の承認を要する場合には該当しない。取締役が会社に対して金銭を貸付けても、右貸付行為は特別な事情のない限り取締役自身又は第三者の為めに為されたものと認められないから、右法案による取締役会の承認は必要でない。そして取締役が右債権を第三者に譲渡しても、右譲渡行為は取締役と会社との取引ではないので取締役会の承認を必要としない。取締役が会社に対して債権を持ち、第三者に対して債務を負つている場合に、右会社に対する債権を第三者に対して譲渡し、その範囲で自己の第三者に対する債務を免れるときも取締役会の同意を必要としない。右の場合に、取締役が会社に対する債権を第三者に譲渡する代りに、第三者に対する債務を会社に引受けさせその限度において会社の自己に対する債務を免れさせても、右引受けた債務がその額、利率、期限その他の貸借条件について会社の取締役に対する債務より不利益とならない限り、実質的には前記の債権譲渡の場合と同様であつて、取締役自身又は第三者の為めにする取引とは認められないので取締役会の同意は必要でない。しかしながら取締役が会社に対して債権を有しないのに自己の第三者に対する債務を会社に引受けさせたり、又は自己の会社に対して有する債権よりもその貸借条件が債務者に不利益な自己の第三者に対する債務を会社に引受けさせてその額の範囲内で自己の会社に対する債権を免除したりする場合は、自己又は第三者の為めにする行為として取締役会の承認を要すること明らかである。

本件の場合、訴外会社の代表取締役訴外山ノ井は原告に対して金三、〇〇〇、〇〇〇円の債務があつたところ、訴外会社に対して同額の債権があると称して右債権の肩替りとして同訴外人個人の原告に対する前記債務を訴外会社に引受けさせ、同訴外人自身は右原告に対する債務の免責を受けたこと前認定の通りである。そこで訴外山ノ井が訴外会社に幾許の額の債権を持つていたかについて判断するに、証人山ノ井立夫の証言被告小野求本人訊問の結果を綜合すれば訴外山ノ井が原告から買受けた商品を他に転売して得た金員を訴外会社に貸付けていた額は右債務引受けの当時金五〇〇、〇〇〇円を少しく超過する程度であつたと認めるが相当である。証人山ノ井立夫の証言中右額が金二、〇〇〇、〇〇〇円を超過していた旨の供述及び被告小野求本人訊問の結果中右訴外会社の債務は原告が債権者で右債務引受当時は全額弁済されていた旨の供述は共に措信できない。証人石川美馬二同中山茂樹及び同前田彰一の各証言中訴外山ノ井の訴外会社に対する債権が金三、〇〇〇、〇〇〇円であつた旨の供述は措信しない。そして証人山ノ井立夫の証言によれば訴外山ノ井の訴外会社に対する債権は既に弁済期到来していたこと、及び訴外会社が引受けた訴外山ノ井の原告に対する債務は無利息又は利息の定めのない債務であつたことが認められるので、結局、訴外会社の引受けた債務は訴外会社の訴外山ノ井に対する従前の債務よりその貸借条件において債務者に不利益ではなかつたことが明らかである。以上認定の事実を綜合すれば、訴外会社の前記債務の引受けは訴外会社の訴外山ノ井に対する債務の存在した額金五〇〇、〇〇〇円の範囲内でその効力を生じその余の引受部分は会社の取締役である訴外山ノ井が取締役会の同意を経ないで自己又は原告の為めに会社と為した取引としてその効力を生じない。そして以上認定事実によれば本件土地所有権の訴外会社から原告への移転は訴外会社の引受債務金五〇〇、〇〇〇円の弁済と外に原告から訴外会社に対する売買代金五〇〇、〇〇〇円の支払をその対価とする取引であるから、訴外会社の取締役会の承認を必要としない。被告等の商法第二六五条違反を理由とする抗弁も採用できない。

(4)  公序良俗違反の抗弁について

被告等は本件土地は時価金三、〇〇〇、〇〇〇円の価値を持つものであるのに、原告が訴外会社から金五〇〇、〇〇〇円の評価で代物弁済として又は売買により右土地所有権の移転を受けたのは公序良俗に反すると主張するが、成立に争ない甲第三号証の三、甲第四号証及び証人前田彰一の証言を綜合すれば訴外会社から原告へ本件土地所有権の移転が為された当時本件土地の時価は約金一、〇〇〇、〇〇〇円であつたと認めるが相当である。そして前認定のように右土地所有権移転はその原因は示談契約であつて訴外会社が有効に引受けた債務金五〇〇、〇〇〇円、引受けの有効でなかつた債務約金二、五〇〇、〇〇〇円の代物弁済と外に代金として原告から訴外会社に対して支払う金五〇〇、〇〇〇円を対価とするものであるから、原告が不当な利得を得た取引とは云い難い。被告等の抗弁は理由がない。

(5)  原告が本件土地を訴外小林清一に譲渡した旨の抗弁について

証人小林清一の証言によれば原告は訴外小林清一に本件土地所有権を譲渡していないこと明らかである。

以上の認定によれば、原告が本件土地を訴外会社から譲渡を受け、その所有権を取得していること明らかである。

(二)  被告等が本件土地について賃借権又は使用貸借による借主の地位を持つ旨の抗弁について

証人山ノ井立夫の証言及び被告等各本人訊問の結果を綜合すれば、被告等が本件土地の前所有者であつた訴外会社から本件土地を使用貸借契約によつて借受けて使用していたこと明らかである。被告等は右土地の貸借を賃貸借であると主張するが、被告等の主張自体によるも、被告等は貸主の訴外会社に対して賃料の支払を約束したことなく、被告等が右訴外会社に勤務してその給料が少いことの償いとして本件土地の使用を許されたと云うのであるから、右土地の貸借は使用貸借であつて、全く無償の使用貸借ではなかつたと云うに過ぎない。そして被告の弁論の趣旨に徴すれば、右使用貸借は右土地上に野菜等を栽培することを目的として返還時期の約定のない契約であつたと認められるのでその後本件土地を買受けて貸主の地位を承継した原告から被告等に対して右土地の返還の請求があつたときは、被告等は右請求のあつた当時右土地に栽培していた作物の収獲を終つた時に、右土地を返還すべき義務がある。そして成立に争ない乙第六号証によれば原告が被告等に対して昭和三一年八月一八日附書面をもつて本件土地の返還を請求したことが認められ、右書面がその頃被告等に到達したことは成立に争のない乙第七号証に徴して明らかである。そして検証の結果認め得る右土地上の栽培作物が通常の野菜類であることに徴し、右返還請求当時右土地上に栽培されていた作物はその後六ケ月以内にその収獲を終つたと認めるが相当であるので、被告等は少くとも昭和三二年三月一日には右土地を原告に返還しなければならない義務を負うに至つたものと認められる。被告等と本件土地の前所有者間に本件土地の貸借契約があつたので、被告等が原告に対して右土地の返還をするを要しない旨の被告等の抗弁も採用できない。

三、被告等が本件土地の別紙物件目録記載の各自の占有部分を現在占有していて野菜等の栽培に使用していることは被告等の自認するところで、被告等がこれを占有使用する権限のないこと前認定の通りであるから、原告が被告等に対して右土地上の栽培物その他被告等が右土地に附加したものを除去して右土地を明渡すことを認める原告の請求は正当である。そして被告等の右土地の返還義務は前認定のように少くとも昭和三二年三月一日には発生していて、その後においては被告等は右土地を不法に占有している関係にあるので、原告はその後である本件訴状の送達の日の翌日以後に被告等による右土地の不法占有によつて原告の蒙つた損害の賠償を被告等に求めることができるところ、原告の蒙る損害は検証の結果認め得る右土地の現状等に徴して一坪一ケ月金三円程度と認められる。原告は被告等に対して本件土地全部について生じた損害の連帯負担を主張しているが、被告等が右土地全部を共同不法占有している立証なく、原告の主張自体に徴しても各自の占有部分があること明らかであるので右連帯負担の主張は採用できない。よつて裁判所は検証の結果認め得る各被告の土地使用の状況に基いて原告の請求の範囲内で主文第二、第三項の通り各被告の賠償額の負担を定めその額の限度において、原告の請求する本件訴状送達の日の翌日から各自の本件土地明渡に至るまでの損害金の支払の請求を認容する。連帯支払の請求は認められない。

よつて右連帯の点を除く原告の請求を認容し、民事訴訟法第八九条第一九六条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 長瀬清澄)

(別紙)

物件目録

一、本件土地

(1)  大阪府枚岡市河内町一四三番地の一 宅地一四三坪

(2)  同所 一四四番地の一 宅地一六一坪

二、各被告の本件土地の占有部分

(1)  被告望月正治の占有部分

左記図面に示す一四三番地の一の東北隅の土地 約四〇坪

(2)  被告今城貞の占有部分

左記図面に示す一四三番地の一の東南隅の土地 約四〇坪

(3)  被告町井義夫の占有部分

左記図面に示す一四三番地の一の西南隅の土地 約三一坪

一四四番地の一の南側の土地 約五〇坪

(4)  被告小野求の占有部分

左記図面に示す一四三番地の一の西北隅の土地 約三一坪

一四四番地の一の北側の土地 約一一一坪

図〈省略〉

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